大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成8年(ワ)13191号 判決 1998年1月20日

原告

穐山利夫

ほか一名

被告

夏目運送株式会社

ほか一名

主文

一  被告らは、原告穐山利夫に対し、各自金三四万四七九六円及び内金三一万四七九六円に対する平成六年一一月一日から、内金三万円に対する平成九年一月一五日から、各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、原告穐山春代に対し、各自金二三二万四九五八円及び内金二一二万四九五八円に対する平成六年一一月一日から、内金二〇万円に対する平成九年一月一五日から、各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は、これを五分し、その四を原告らの負担とし、その余を被告らの負担とする。

五  この判決は、第一項及び第二項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  被告らは、原告穐山利夫に対し、各自金二七六万〇九二〇円及び内金二五一万〇九二〇円に対する平成六年一一月一日から、内金二五万円に対する平成九年一月一五日から、各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、原告穐山春代に対し、各自金一二〇六万六三六〇円及び内金一一〇六万六三六〇円に対する平成六年一一月一日から、内金一〇〇万円に対する平成九年一月一五日から、各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、被告夏目運輸株式会社(以下「被告会社」という。)が保有し、被告梶田堯圀(以下「被告梶田」という。)が運転する事業用大型貨物自動車が、高速道路上でスリップの上停止していた原告穐山利夫運転車両に衝突し、これに乗車していた原告らが傷害を負った事故につき、原告らが被告梶田に対しては、民法七〇九条に基づき、被害夏目運輸株式会社に対しては、自賠法三条及び民法七一五条に基づき、損害賠償請求をした事案である。

一  争いのない事実及び証拠により比較的容易に認められた事実

1  事故の発生

左記交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した(甲一、乙一)。

日時 平成六年一一月一日午前五時二七分頃

場所 岐阜県瑞浪市釜戸町地内中央自動車道西宮線上り線三〇六・一キロポスト付近

事故車両一 事業用大型貨物自動車(三河一一あ八七二六、三河一一え一七九四)(以下「被告車両」という。)

右運転者 被告梶田

右保有者 被告会社

事故車両二 普通常用自動車(泉五九せ八六〇六)(以下「原告車両」という。)

右運転者 原告穐山利夫(以下「原告利夫」という。)

右同乗者 原告穐山春代(以下「原告春代」という。)

態様 被告梶田は、被告車両を運転して本件事故現場付近の中央自動車道西宮線上り線を走行中、スリップ事故で停止中の原告車両に衝突した。

2  被告会社の責任原因

被告会社は、被告車両の保有者であり、運行供用者である。

3  損害の填補

(一) 原告利夫

原告利夫は、本件事故に関し、自動車損害賠償責任保険から、一一五万六四四〇円の支払を受けた。

(二) 原告春代

原告春代は、本件事故に関し、自動車損害賠償責任保険等から、合計五八六万二三八三円の支払を受けた。

二  争点

1  被告梶田の過失

(原告らの主張)

被告梶田は、高速道路上を原告車両に追随して走行していたものであるが、走行に際してはいかなる事態にも対処しうるよう適切な車間距離と適切な速度を保ち、先行車両の動静には万全の注意を払って安全運転を心掛ける義務があるところ、車間距離が不十分でかつ速度も最高制限時速五〇キロメートルを六〇キロメートルも超過した時速一一〇キロメートルで走行していた上に前方の動静に意を払うことなく漫然と運転していたために、原告車両に衝突したものである。

(被告らの主張)

被告梶田は、時速約八三キロメートルで進行していたもので、車間距離も相当であり、前方不注視もなく、普通に走行していたものであり、原告車両がスリップして追越車線上に進路を塞ぐ形で停車することは全く予見できず、事故を回避することが不可能であった。

2  原告利夫の過失

(被告らの主張)

原告車両は突然スリップして右側の分離帯に衝突し、その反動でスピンして追越し車線上に被告梶田の進路を塞ぐ形で横向きに停車した。原告利夫は、ハンドルを切りながらブレーキを踏んだためスリップしたもので、本件事故が発生したのは全て原告利夫の重大な過失(前方不注視、ハンドル操作不適切)に基づくものである。

(原告らの主張)

原告利夫は、進行方向左側の路側帯に放置されていた事故車両との衝突を避けるためにハンドルを右に転把し、急制動をかけた際にスピンし、原告車両前部を中央分離帯から斜め前方に向けた方向で停止した。本件事故当時は、夜明け前の真っ暗な状態で、事故車両を発見し難い状況であり、原告利夫が事故車両を四〇メートル手前で初めて発見したことには落度はなく、時速八五キロメートルで走行していたことからすると、衝突を避けるためにはハンドルを右に転把せざるを得ず、道路上にスピンして停止したことを責めることは酷である。また、原告車両が停止してからこれに被告車両が衝突するまでにはほんの数秒程度の時間しかないことにかんがみると、原告利夫が路側帯に退避する等の措置を採らなかった点についても落度はない。

3  原告利夫の受傷内容及び治療経過

4  原告春代の受傷内容及び治療経過

5  原告利夫の損害額

(原告利夫の主張)

(一) 治療費 四〇万九八七〇円

(二) 入院雑費 五万二〇〇〇円

(三) 付添看護料 二〇万円

(四) 付添交通費 一〇万一五七六円

(五) 休業損害 二一五万三九一四円

(六) 入通院慰謝料 七五万円

(七) 弁護士費用 二五万円

(被告らの主張)

否認する。

6  原告春代の損害額

(原告春代の主張)

(一) 治療費 一二三万一五一四円

(二) 入院雑費 一三万九一〇〇円

(三) 付添看護料 五三万五〇〇〇円

(四) 付添交通費 一二万九四〇六円

(五) 装具 二万〇八六九円

(六) 休業損害 二六六万二四三三円

(七) 逸失利益 七二一万〇四二一円

(八) 入通院慰謝料 三〇〇万円

(九) 後遺障害慰謝料 二〇〇万円

(一〇) 弁護士費用 一〇〇万円

(被告らの主張)

否認する。

第三争点に対する判断

一  争点1及び2について(本件事故の態様等)

1  前記争いのない事実、証拠(甲二九、乙一ないし三、原告穐山利夫本人、被告梶田堯圀本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

本件事故現場は、岐阜県瑞浪市釜戸町地内中央自動車道西宮線上り線三〇六・一キロポスト付近であり、その付近の概況は別紙図面記載のとおりである。本件事故現場の道路は、カーブを過ぎた後のほぼ直線の片側二車線の高速道路(以下「本件道路」という。)であり、前方の見通しを妨げるものはなく、照明灯は少なく、本件事故当時は、暗い状態であった。本件事故当時、本件道路の路面は乾燥しており、進行方向左側から、路側帯、第一車線、第二車線、中央分離帯と区分され、その幅員は路側帯二・二メートル、第一車線・第二車線各三・六メートルであった。最高速度は時速八〇キロメートルとされていた。

原告利夫は、平成六年一一月一日午前五時二七分頃、原告車両を運転し、本件道路の第一車線を走行して本件事故現場付近にさしかかったところ、別紙図面<イ>地点付近において、路側帯と第一車線とをまたぐように放置されていた事故車両(同図面<甲>地点)を発見し、ハンドルを右に切るとともにブレーキをかけて衝突を回避しようとしたが、スリップしたまま中央分離帯に衝突した上、スピンして同図面<ウ>地点に第二車線全体を塞ぐ形で横向きに停止した。

被告梶田は、被告車両を運転し、本件道路の第一車線を原告車両との車間距離を七〇メートル程度に保ったまま追随して時速約八四キロメートルで走行していた。別紙図面<1>地点において、前方遠方の駐車車両(同図面地点)がハザードランプを点けて停車しているのを発見した。同図面<2>地点において、原告車両のテールランプが右側に寄っていったのを見て、原告車両が第二車線の方へ車線変更を始めたと認め(その時の原告車両の位置は同図面<イ>地点付近)、その後すぐ、原告車両のテールランプが見えなくなったことから、原告車両は前記遠方の駐車車両の前に出たものと考えた。同図面<3>地点において、前記事故車両(同図面<甲>地点)を発見し、ハンドルを右に切り始め、同図面<4>地点において、排気ブレーキをかけたが、同図面<5>地点において、同図面<ウ>地点に停止中の原告車両を発見してハンドルを左に切るとともにフットブレーキで急ブレーキをかけたが間に合わず、同図面<6>地点で原告車両に衝突し、同図面<7>地点に停止した。原告車両は衝突の衝撃で同図面<エ>地点に飛ばされて停止した。

以上のとおり認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。

2  右認定事実によれば、本件事故は、被告梶田が、本件道路を走行するに際し、先行車両の動静に注意しつつ進行すべき注意義務があるにもかかわらず、原告車両と前記遠方の駐車車両との距離関係を踏まえることなく、原告車両のテールランプが見えなくなったことを原告車両が前記遠方の駐車車両の前に出たためであると安易に考えるなど、右注意義務を怠ったまま漫然と進行した過失のために起きたものであると認められる。

しかしながら、他面において、高速度の走行を前提とする高速道路上において走行車線上に停止している車両に対し、適切な衝突回避措置を講ずることには困難な面があるところ、原告利夫は前記事故車両に驚きスリップして中央分離帯に衝突する事故を起こし、これが本件事故の発端となったこと、原告車両は第二車線全体を塞ぐ形で停止していたこと、前記事故車両は路側帯と第一車線とをまたぐように放置されていたこと、本件事故現場は夜明け前で暗い状態であったことにかんがみると、原告らに発生した全損害を被告らに負担させるのは公平に反する。本件においては、前認定にかかる一切の事情を斟酌し、被告梶田と原告利夫との過失とを対比すると、原告らに生じた損害につき五割の過失相殺を行うのが相当である。

二  争点3及び5について(原告利夫の受傷内容及び治療経過、原告利夫の損害額)

1  証拠(甲二1、2、三1、2、四、二九、原告穐山利夫本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

原告利夫(昭和一六年二月一九日生)は、本件事故当時、個人で板金工を行っていたものであるが、名古屋の長女宅から東京八王子の長男宅へ行く途中で本件事故に遭った。原告利夫は、本件事故当日の平成六年一一月一日、救急車で昭和病院に運ばれ、昭和病院にて診察を受け、全身打撲、骨盤骨折、外傷性小腸穿孔性腹膜炎、肝損傷(疑い)の傷病名で、同日から同年一二月一〇日まで入院、同月一一日から平成七年三月一七日まで通院治療を受けた(通院実日数二日)。同病院では、外傷性小腸穿孔性腹膜炎について緊急手術を行い、骨盤骨折について保存的治療を行って経過をみていたが、経過は概ね良好であったが、感染症、腸閉塞の可能性が残り、約三か月間の安静を要した。

2  原告利夫の損害額(過失相殺前の損害額)

(一) 治療費 四〇万九八七〇円

原告利夫は、本件事故による傷病の治療費・文書費として、四〇万九八七〇円を要したと認められる(甲二2、三2)。

(二) 入院雑費 五万二〇〇〇円

原告利夫は、前認定によれば、昭和病院に四〇日間入院したから、右期間の入院雑費として、一日あたり一三〇〇円として合計五万二〇〇〇円を要したと認められる。

(三) 付添看護料 七万五〇〇〇円

証拠(甲二1、三1、六、二九)及び弁論の全趣旨によれば、原告らの長女である西村美幸は、原告利夫の入院期間である平成六年一一月一日から同年一二月一〇日まで自宅から通って付添看護を行ったこと、右期間中は原告春代の付添看護も併せて行っていたこと、昭和病院の和田医師作成による診断書によれば平成六年一一月一日から同月三〇日までは付添看護を要したとされていること、これに対し、同年一二月一日から同月一〇日までの期間については付添看護を要したと判断されていないことが認められる。右認定事実によれば、右付添看護は平成六年一一月一日から同月三〇日までの三〇日間についてその必要性が肯定されるものの、その余の期間についてその必要性を認めるに足りる証拠はない。そして、原告春代の付添看護も併せて行われていたことに照らすと、付添看護料としては、1日あたり二五〇〇円と認めるのが相当である。したがって、付添看護料は七万五〇〇〇円と算定される。

(四) 付添交通費 七万六一八二円

原告利夫は、付添交通費につき、平成六年一一月一日から同年一二月一〇日までの四〇日間分として一〇万一五七六円を主張する。しかしながら、前記のとおり付添看護が必要な期間は平成六年一一月一日から同月三〇日までの三〇日であるから、一〇万一五七六円の四分の三に相当する七万六一八二円を要したと認められる(甲七、弁論の全趣旨)。

(五) 休業損害 一七二万九四二〇円

原告利夫の治療状況、入通院状況等の前認定事実、証拠(甲四)及び弁論の全趣旨によれば、原告利夫は、平成六年一一月一日から平成七年一月三一日までの三か月間(九二日間)は完全に休業を要する状態であり、同年二月一日から同年三月一七日まで四五日間は平均して四〇パーセント労働が制限される状態であったことが認められる。原告利夫の基礎収入は、一日あたり一万五七二二円と認められるから(弁論の全趣旨)、これを基礎として右休業期間中の休業損害を計算すると、次の計算式のとおり一七二万九四二〇円となる。

(計算式) 15,722×92+15,722×45×0.4=1,729,420

(六) 入通院慰謝料 六〇万円

原告利夫の被った傷害の程度、治療状況等の事情を考慮すると、右慰謝料は六〇万円が相当である。

3  過失相殺後の金額 一四七万一二三六円

以上掲げた原告利夫の損害額の合計は、二九四万二四七二円であるところ、前記一の次第でその五〇パーセントを控除すると、一四七万一二三六円となる。

4  損害の填補分を控除後の金額 三一万四七九六円

前記争いのない事実等のとおり、原告利夫は、本件交通事故に関し、合計一一五万六四四〇円の支払を受けているから、これを過失相殺後の損害金額一四七万一二三六円から控除すると、残額は三一万四七九六円となる。

5  弁護士費用 三万円

本件事故の態様、本件の審理経過、認容額等に照らし、相手方に負担させるべき原告利夫の弁護士費用は三万円を相当と認める。

なお、原告利夫の請求は、弁護士費用については訴状送達日の翌日である平成九年一月一五日から遅延損害金を求める趣旨と解される。

6  まとめ

よって、原告利夫の損害賠償請求権の元本金額は三四万四七九六円となる。

三  争点4及び6について(原告春代の受傷内容及び治療経過、原告春代の損害額)

1  証拠(甲八1、2、九1、2、一〇1、2、一一1、2、一二1、2、一三1、2、二二ないし二四、二八、二九、原告穐山春代本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

(一) 原告春代(昭和一六年三月三〇日生)は、本件事故当時、主婦の傍ら原告利夫の板金工の手伝いや事務仕事を行っていた。原告春代は、本件事故当日の平成六年一一月一日、救急車で昭和病院に運ばれ、昭和病院にて診察を受け、骨盤骨折、左上腕骨・尺骨骨折等の傷病名で、同日から同年一二月二五日まで入院し、その後、府中病院に転医し、同月二六日から平成七年二月四日まで入院、同月五日から平成八年一月八日まで通院、同月九日から同月一九日まで入院、同月二〇日から同年二月九日まで通院治療を受けた(通院実日数九四日)。昭和病院では、左上腕骨・尺骨骨折に対して骨接合術を行い、骨盤骨折等による出血に対して保存血輸血処置等を行い、府中病院では、左前腕手術、左尺骨偽関節根治術、理学療法、作業療法を施行した。

(二) 府中病院の鳴嶋医師は、平成八年二月九日をもって原告春代の症状が固定した旨の診断書二通を作成した。これらの診断書によれば、原告春代には、自覚的には、左手の握りができない等があるとされ、他覚症状及び検査結果としては、左手ⅣⅤ指の運動制限によるパワーグリップ困難、左上腕骨骨折部で伸展変形残存、骨盤骨折の変形軽度、左尺骨骨癒合骨移植固定にて治癒、顔面創の醜状痕を残すとされている。

(三) 自算会調査事務所は、原告春代の後遺障害につき、左上腕骨の変形が一二級八号、左尺骨の変形が一二級八号、骨盤骨の著しい変形が一二級五号、左第五指の用廃が一四級六号、外貌の醜状が一二級五号で、併合一〇級に該当する旨の認定を行った。

以上のとおり認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

2  原告春代の損害額(過失相殺前の損害額)

(一) 治療費 一二三万一五一四円

原告春代は、本件事故による傷病の治療費・文書費として、一二三万一五一四円を要したと認められる(甲八2、九2、一〇2、一一2、一二2、一三2、一四2、一五2、一六ないし二一)。

(二) 入院雑費 一三万九一〇〇円

原告春代は、前認定によれば、昭和病院に五五日間、府中病院に五二日間入院したから、右期間の入院雑費として、一日あたり一三〇〇円として合計一三万九一〇〇円を要したと認められる。

(三) 付添看護料 七万五〇〇〇円

昭和病院の和田医師作成による診断書上、原告利夫については平成六年一一月一日から同月三〇日までは付添看護を要したと記載されているが、原告春代については何ら付添看護を要した旨の記載はされていない(前認定事実、甲八1、九1、一〇1、一一1、一二1、一三1、一四1、一五1、二二)。しかしながら、原告利夫について平成六年一一月一日から同月三〇日までは付添看護を要する旨の記載の趣旨は、原告らが共に入院していたこと、入院初期の原告春代の状態は原告利夫の状態よりも良好なものであったとはいえないことにかんがみると、原告らにつき一括して右の期間は付添看護を要する趣旨のものと理解するのが相当である。これに対し、原告春代に関し、平成六年一二月一日以降の期間について付添看護を要すると認めるに足りる証拠はない。そして、右要付添看護期間である平成六年一一月一日から同月三〇日まで原告春代の外、原告利夫の付添看護も併せて行われていたこと(前認定事実)に照らすと、付添看護料としては、一日あたり二五〇〇円と認めるのが相当である。したがって、付添看護料は七万五〇〇〇円と算定される。

(四) 付添交通費 認められない。

原告らは、付添交通費につき、平成六年一一月一日から同年一二月一〇日までの分は、原告利夫の損害として計上し、平成六年一二月一一日以降の分を原告春代の損害として計上する。

既に述べたとおり、平成六年一二月一日以降の期間について原告春代につき付添看護を要すると認めるに足りる証拠はないから、原告春代の付添交通費の主張は認められない。

(五) 装具 二万〇八六九円

原告春代は、装具費用として、二万〇八六九円を要したと認められる(甲二六、二七)。

(六) 休業損害 二五九万七七七八円

原告春代の治療状況、入通院状況等の前認定事実及び弁論の全趣旨によれば、原告春代は、前記入院期間の合計一〇七日間は完全に休業を要する状態であり、平成七年二月五日から平成八年一月八日まで、同年一月二〇日から同年二月九日までの通院期間合計三五九日間は平均して六六パーセント労働が制限される状態であったと認められる。原告春代の家事労働その他の労働の対価は、一日あたり七五五三円と認められるから(弁論の全趣旨)、これを基礎として右休業期間中の休業損害を計算すると、次の計算式のとおり二五九万七七七八円となる。

(計算式) 7,553×107+7,553×359×0.66=2,597,778

(一円未満切捨て)

(七) 逸失利益 七二一万〇四二一円

前認定事実によれば、原告春代の後遺障害は、自賠責保険に用いられる後遺障害別等級表併合一〇級に該当し、原告春代は、右後遺障害により、その労働能力の二七パーセントを症状固定時(五四歳)から六七歳までの一三年間喪失したものと認められる。

原告春代の本件事故当時における家事労働その他の労働の対価は、年額二七一万九二〇〇円に相当すると認められるから(弁論の全趣旨)、右金額を基礎に、新ホフマン式計算法により、年五分の割合による中間利息を控除して、後遺障害による逸失利益を算出すると、次の計算式のとおりになる。

(計算式) 2,719,200×0.27×9,821=7.210,421

(一円未満切捨て)

(八) 入通院慰謝料 二七〇万円

原告春代の被った傷害の程度、治療状況等の事情を考慮すると、右慰謝料は二七〇万円が相当である。

(九) 後遺障害慰謝料 二〇〇万円

原告春代の後遺障害の内容及び程度を考慮すると、右慰謝料は、原告春代の主張どおり二〇〇万円が相当である。

3  過失相殺後の金額 七九八万七三四一円

以上掲げた原告春代の損害額の合計は、一五九七万四六八二円であるところ、前記一の次第でその五〇パーセントを控除すると、七九八万七三四一円となる。

4  損害の填補分を控除後の金額 二一二万四九五八円

前記争いのない事実等のとおり、原告春代は、本件交通事故に関し、合計五八六万二三八三円の支払を受けているから、これを過失相殺後の損害金額七九八万七三四一円から控除すると、残額は二一二万四九五八円となる。

5  弁護士費用 二〇万円

本件事故の態様、本件の審理経過、認容額等に照らし、相手方に負担させるべき原告春代の弁護士費用は二〇万円を相当と認める。

なお、原告春代の請求は、弁護士費用については訴状送達日の翌日である平成九年一月一五日から遅延損害金を求める趣旨と解される。

6  まとめ

よって、原告春代の損害賠償請求権の元本金額は二三二万四九五八円となる。

四  結論

以上の次第で、原告利夫の被告ら各自に対する請求は、三四万四七九六円及び内金三一万四七九六円に対する本件不法行為日である平成六年一一月一日から、内金三万円に対する訴状送達の日の翌日である平成九年一月一五日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、原告春代の被告ら各自に対する請求は、二三二万四九五八円及び内金二一二万四九五八円に対する本件不法行為日である平成六年一一月一日から、内金二〇万円に対する訴状送達の日の翌日である平成九年一月一五日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるので、主文のとおり判決する。

(裁判官 山口浩司)

別紙図面 交通事故現場見取図

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例